【一般可】第62回北海道生命数理セミナーの御案内

表記案内が届きました。一般の皆様の参加も可能ですので是非万障お繰り合わせの上ご参加ください。

とは言ってもバックグラウンドとなる知識は必要かと思われますし、きちんとセミナーの趣意をご理解いただいている方、ちゃんと議論のできる方を対象にしているのは言うまでも無く、ということで節度のある範囲でよろしくお願いいたします。

 

以下ご案内です。

 

第62回の北海道*生命数理セミナーの御案内をいたします。

オープンなセミナーですので、北大学内外、教員、学生を問わず自由な参加をお
待ちしております。セミナー後は、お食事を伴った懇親会を予定しております。
人数確認のため、参加される方は関(seki@ees.hokudai.ac.jp)まで御連絡下さい。

日時:平成26年5月21日(水)16時30分~18時00分

■場所:北海道大学地球環境科学研究院A807

■講演者:増田 良帆(北海道大学大学院地球環境科学研究院)

■演題:渦解像海洋生態系モデルを用いた植物プランクトン多様性の形成メカニズ
ムの検討

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渦解像海洋生態系モデルを用いた植物プランクトン多様性の形成メカニズムの検

Exploring mechanisms of phytoplankton coexistence using a marine
ecosystem model with eddy-resolving resolution

海洋が比較的単調な環境に見えるにも関わらず、海洋植物プランクトンは多様
性に富んでおり、総計で約7万種以上が存在すると見積もられている(Guiry,
2012)。これほどの多様性があるのは驚きであり、このような多様性を可能とす
る様々なメカニズムが提案されている。本研究では特にニッチ分割説、中立説
(Hubbell, 2001)に着目し、数値モデルを用いて検証を行った。植物プランク
トンの多様性を実現するには海洋の中規模渦によって作られる物理環境の多様性
を表現することが重要だと考え、渦解像モデル(水平解像度0.1度)を用いた。
海洋低次生態系モデルNEMURO、MEM を基に植物プランクトン多様性モデルを新
たに開発し、気象研究所共用海洋モデル(MRI.COMに組み込んだ。物理場は理
想化した亜熱帯循環と亜寒帯循環を再現しており、計算領域は東西30度×南北30
度の矩形領域である。標準実験では温度・栄養塩・光特性の異なる240の植物プ
ランクトングループを設けた。240グループのうち、31クループが10年後に生き
残った。亜寒帯では高栄養塩環境下で成長が早いグループ、亜熱帯では低栄養塩
環境下で成長が早いグループが生き残る傾向があった。生き残りと絶滅を分ける
メカニズムを調べるために、成長速度(光合成速度-呼吸速度)を植物プランク
トングループ毎に調べた。成長速度で一位を取れる海洋の体積が大きくなるほど
生き残る確率が高かった。
陸上植生では性能が劣る種でも生態的浮動によって系に長期間存在する可能性
があり、このことは中立説をサポートすると考えられている。海洋植物プランク
トンで中立説を検証する為、生き残った31グループに最大光合成速度が98%とな
る31グループを加えた実験を行った。性能の劣る31グループは全て数年の時間ス
ケールで絶滅へと向かった。2%能力が違えば中立を仮定した場合と結果が異なる
ので、海洋植物プランクトンでは陸上生態系に比べると中立説が成立しづらいと
推定される。
次にニッチ分割によって共存出来る種数の上限を調べる為、最も卓越する1グ
ループをニッチが僅かに異なる200グループに分割する実験を行った。結果、200
グループは長期間共存可能であった。このような分割を他のグループについても
行えば、1000グループがこのモデル内で共存出来ると推定される。我々の実験か
らは、分割したグループが生き残るには成長率で一位を取れる海洋の体積がある
値以上である必要があると考えられる。

Observational studies estimate that there are over 70,000 phytoplankton
species in the world ocean (Guiry, 2012). Various mechanisms which
enable phytoplankton coexistence are proposed. We inspected niche
segregation and neutral theory (Hubbell, 2001) under a pelagic
environment, using a numerical model. Since we considered that a variety
of physical environments in seawater caused by mesoscale eddies plays an
important role on phytoplankton diversity, an eddy-resolving model is
employed.
Based on NEMUEO and MEM, we developed a marine ecosystem model which
can express a few hundred phytoplankton species and combined it to a
physical oceanic model, MRI.com. A physical field represents idealized
subpolar and subtropical gyres in a rectangular model domain of 30 by 30
degrees. To explore niche segregation, we seeded 240 phytoplankton
species which have different trait for temperature, light and nutrient.
After 10 years integration, 31 species are survived. In the subpolar
(subtropical) region, species favorable high (low) nutrient condition
are survived. The important factor contributing the survival of a
species is the oceanic volume in which a species has the fastest growth
rate than other species; the larger the volume, the higher the
possibility of survival.
The predictions of the unified neutral theory of biodiversity do not
depend on whether we consider that a terrestrial plant association
composed by completely neutral species or including some slightly
inferior species. However, since dispersal limitation does not exist in
a pelagic environment, a slightly inferior phytoplankton species would
rapidly go extinct. We implemented an experiment in which 31 species
with 98% photosynthesis rate were added to the 31 survivors. All of the
31 inferior species go extinct in a few years. The results of the
experiment are different from those of the case where neutral assumption
is applied. This suggests that the neutral theory is not necessarily
applicable to oceanic phytoplankton.
To assume the upper limit of numbers of species, we implemented an
experiment in which the most dominant species is divided into 200
subspecies with slightly different traits. Many of the 200 subspecies
maintain their biomass for a few years. If we divide the other dominant
species into subspecies, 1000 or more species will coexist in the model.
For survival of a phytoplankton species, the oceanic volume in which the
species has the fastest growth rate than other species is suggested to
be a sufficient value.

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