地球温暖化や地球環境変動における論議の方法論的考察

これまでずっと地球温暖化の議論が言論プラットフォーム「アゴラ」で盛り上がっている。大雑把にかいつまんで集約するともっとスケールを加味して時系列で見ていく必要性(ヨハネス先生)、今後の温暖化は非常にクリティカルであり、将来の幸福を見据えて現状を粛々と受け入れ、少し辛抱しなくてはならない(辻先生)などが有る。

このような地球温暖化を含めた地球環境変動論においては議論が必ずといっていいほど発散する。なぜならこれを包括するコントローリングファクターが膨大であり、メタンハイドレートの話が出てきたかと思うと、ヨーロッパで50年間に7℃も上昇したヤンガードライアス期の急激な温暖化の話が出てきたり(順不同)など、容易に話題がすり替え可能だからである。

一般論で申し訳ないが(原著論文を上げるときりがないので、という意味で)現在のシミュレーションでも概ね温暖化の方向に向かっているようであるが、それでも要所では今なお議論が続いている。また古環境や古海洋などの議論でも誰も過去を見たことはないため、化石、その当時から残されている化学物質などのプロキシを用いた推論の域を出ない。これはこの学問の特異性である。疑い始めればきりがないのだが、この問題はクロスチェックを行うことで、ある確率で概ね推定される。このように過去、現在、未来を含めてジオサイエンスは、数学や物理学に比して世界の英知を集めてもはっきりとした結論が出にくい学問領域の一つである。

では専門のジオサイエンティストでなくても地球環境変動の議論を可能にするにはどうすればよいか、これはいくつかの科学的方法をすべて考慮に入れる必要がある。以下に示す。

  1. 議論の方法を習得する。
  2. 過去、現在、未来という時系列を含めた地球科学的事象をその内容や方法論を含めてできるだけ把握する。
  3. 上記の科学的ベースに正確に基づき自分の意見を述べる。

残念ながら近道はなく、そしてどれも当たり前の事である。

1については従前にも拙記事「サイエンス思考のススメ」やアゴラに一番最初に掲載したとおりである。これは地球環境変動に限った話ではないので、できるだけ多くの人が習得することを願うのだが。でないと議論の俎上にすら登らない事態となり、話にならない。実は日本人に特にできていないように感じる。目指すポイントが整理できない、議論のすり替え、論理的理解がそもそもできない等…。

2についてはこれがパーフェクトであればPh.D.サイエンティストの力仕事的な素養を持つと言えるのだが、学問を究めなくとも1のような科学的思考を持てばある程度の科学的事実についてはフォローできるものと思われる。どのような物質、生物や物理量をどの時代で測定したのか、またその測定方法、シミュレーションはどの事実をベースにしてどのような方法で行ったのか、などである。最初はどの化合物をフォローすればよいのか、どのシミュレーションを支持するべきなのか路頭に迷うだろうが、数を見ていくこと、所謂場数を踏むことにより、徐々にクリティカルに言及可能となる。

3についてはその事実を把握した上でできるだけ明確に述べることである。これも議論が発散しないように、オーディエンスにわかりやすく伝えることが肝要である。

散見程度で申し訳ないのだが、実際のアゴラのコメント欄等を見ても発散、何が言いたいのか言葉足らず、など上記を満たしている議論とはいえない。執筆者、意見者たちも(当然、私も含めて)これらのポイントを考慮にいれながら慎重に、丁寧に、正確に議論すべきであると考える。

 


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