(アゴラ早版)脂肪にド~ンの表記をするシステム、トクホの曲解をする消費者

少し前の話を。7月上旬だが黒烏龍茶CMに消費者庁から改善の要望があった。これはそのキャッチコピーが宜しくないとのことであり、その改善要望であった。

そもそもダイエットはじめ健康増進に効果的とされるトクホ、特定保健用食品であるが、その意味を理解している消費者はあまりに少ない。トクホ食品だけ飲食していれば他は何やっても大丈夫、とか、今日は油物を食べ過ぎたからダイエットに効くトクホのドリンクを飲んでおこう、などなど。

しかしながらこれらは、例えばダイエットをしているときに「多少」その原料の仕方に対して手助けをする、といった程度のものである。脂肪を減らす、という意味でのダイエットの大原則は「消費カロリー」>「摂取カロリー」であり、それ以上、それ以下でもない。それをあたかもこれを飲んでさえ置けば大丈夫、といった文言でのCMが非常に多い。拙記事「ダイエットは失敗のビジネス」でも述べているように、このビジネスは個人差を口実にしたかなり曖昧な商売である。それにつけ込むような文言であるから、これではどんな文言を用いても誤解を生ずるのは火を見るよりも明らかである。

生物を使った生理学等の論文ではその個人差のため必ずプラセボを含めた複数人、複数回数のワークをさせ、その結果に対して有意の差があるのかないのか、またその理由を議論する。そのようにしてようやく1報論文が出るのだが、少し条件を変えて追試もなされ、例えば前者の論文と逆センスな結果も得られることもある。このようにしてかき集められた多数の論文を解析する統計手法を用いたメタ解析で何とか効果が検証できるわけである(例えば、http://www.ausport.gov.au/ais/nutrition/supplements)。

ところが実際には商品を発売する自社発表に関するデータに基づいている事、論文すらになっていない事もある。自社データは語弊を生むかもしれないが当然利益に繋げたいわけだから、結論的にどうにでもなってしまうわけである。筆者はその表記方法、認定プロセスに問題があると感じている。

それらの解決策として以下の3つを提案したい。

(1)まずは少なくとも第三者機関に追試などをしてもらい、データの公正性を保つ、母体数を増やして信頼を得る等すべきである。審査申請における添付資料では提出を求められているが企業秘密にならない範囲で一般消費者が目に見えるような形で表記すべきである。

(2)更にはトクホ該当食品には更に詳細なデータシートを同梱させ理解を深めさせるべきだろう。一部商品にはHP上で公開されているものもある。

(3)パッケージに「ドーン」等と示すスペースがあるならば現表記に加え、peer review付き論文数、人数、条件、結果、判定(効果が有意に認められた人数/母体数など)を掲載するべきである。これにより消費者の評価を得る。

筆者はトクホ表記のある食品をいくつか見ているが、現表記法では不十分である。またこのような表記をさせることによって本当はどれくらい効くのかが知りたいわけだから、商品比較をしたり等その科学的理解に向けてリテラシーが上がる可能性も十分ある。この問題は原発問題より簡単に解が得られるはずであり、勤勉な日本人ならもっと出来るはずだ、と考える。

他の参考記事:

特定保健用食品の審査等取扱い及び指導要領
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/150829xa.pdf

健康には食事のバランス特保の飲料過剰な期待は禁物-MSN産経ニュースhttp://sankei.jp.msn.com/life/news/120620/bdy12062008040001-n1.htm

「脂肪にドーン」の黒鳥龍茶CMに改善要望消費者庁「偏った食生活を助長」-MSN産経ニュースhttp://sankei.jp.msn.com/economy/news/120625/biz12062511160002-n1.htm

実は健康食品の85%が法律違反!正しい広告の見極め方
http://www.biranger.jp/archives/43538


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